研修より

令和5年度 研修部 主題研究授業実践協議会

講師:筑波大学附属桐が丘特別支援学校 前校長  下山直人氏

   福島大学 人間発達文化学類   特任教授 柳沼哲氏

   福島県教育庁県中教育事務所   指導主事 黒田樹氏

  

 令和5年11月24日(金)上記の先生方を指導助言者としてお招きし、「主題研究授業実践協議会」を行いました。本協議会は、

(1)  提案授業を実施し、取り上げた実践について主題研究各チームで協議・共有することで、授業の改善と主題研究の推進を図る。

(2)  実践協議会への参加を通して、外部講師からの指導助言を主題研究各グループの実践に活かし、授業実践力の向上を図る。

 

この2点を目的として、小学部・中学部・高等部がそれぞれ提案授業を行いました。午後に提案授業をVTRで視聴し、チームごとに協議を行い、協議内容を共有し、下山氏、柳沼氏、黒田氏からそれぞれ指導助言をいただきました。最後に、下山氏から「言語活動の充実に向けた授業づくり」というテーマで全体講話をいただきました。

 

 下山先生からの助言(全体講話、「小学部:図画工作科」の指導助言より)

〇授業における言語活動の工夫について 

準ずる教育課程では、伝えあう機会や多様な表現方法を採用することで、児童生徒が的確事実を捉えることができているか、確認していくと良い。

知的教科代替の教育課程では、体験の質を高め、言葉の精選をすることで、事物と言葉の結びつきを高めることが大切である。

〇図画工作科の授業からの事例:「ぎゅう」の言葉掛けはどこで掛けるかという視点から

児童がどのタイミングで握るかという「事実」を根拠に評価していくことで、発展、修正していくことができる。児童の内面で働く言語は推測するしかできないが、前後の行動等により、根拠をもって推測していくことが大切である。

〇今後も一人一人の学びの過程に目を向け、基盤となる言語活動を大切にした授業づくりをしてほしい。

 

柳沼先生からの助言(「高等部:体育科」の指導助言より)

〇言語には、コミュニケーション以外にも、思考する、気持ちをコントロールするなどのはたらきがある。特に今回の体育科の授業では、思考して自分の行動を変える姿も重要な言語活動として捉えることが大切である。

〇受容と表出は一体のものである。聞き手がより興味をもって話を聞くことで、伝えたくなる環境をつくることが重要である。

〇体育科の目的と言語活動の充実という手段が逆転しないようにしてほしい。

〇生涯にわたってスポーツを楽しむことができるように、仲間と共に体を動かす楽しさを大切にしながら、言語活動の充実を目指してほしい。

 

黒田先生からの助言(「中学部:社会科」の指導助言より)

○言語活動の取組において国語科を要として組織的・計画的に取り組んできている成果が表れている。

○社会的事象について関心をもつということは、身近な地域である、児童生徒が通う学校を中心にして学習するところからはじまり、住んでいる地域と他の地域との違いについて関心をもつことと発展し、社会的な見方や考え方につながっていく。

○教材教具の工夫一つで、児童生徒の発見や気付き、追究となる。そして意欲につながる仕掛けとなっていく。

○選択肢の工夫がされ、選択をすることで言語活動が行われていた。さらに、友達同士の関わりがさらに言語活動を活発にする機会となる。

 

 

 参加者からの感想

・行為のイメージを頭の中に残すことの大切さ、単に「つくる」で終わらない図工ということがとても印象的だった。

・「楽しく印象的な行為を伴う言葉は、言語能力の形成に必要である」との言葉が印象に残った。関わる生徒にもこのように接していきたいと思う。

・講話より、「言葉を体験とともに記憶すること」、「イメージをもって取り組めること」、それが「再現できること」とあり、これらから言葉の獲得を見とれるように授業をつくっていきたいと思った。

・大学での教育者(小、中、高、特別支援)の現状を知ることができた。言語活動を大事にしながら、教科(体育)の目標も大事にし、運動量を確保することも大事だということが分かった。

・社会科とは、誰でも興味・関心がわき、深められる教科であることを再確認した。

 

<各チームの協議の様子>

 

<指導助言の様子~下山氏~>

<指導助言の様子~柳沼氏~>

<指導助言の様子~黒田氏~>

今回の協議会を通して、職員同士での学び合いやいただいた指導助言を生かし、より良い授業づくりに努めていきたいと思います。