令和6年8月1日(木)に本校にて「令和6年度 福島県特別支援教育研究会 肢体不自由教育専門部研修会」が行われました。当日は本校教職員の他、他校からの来校者、オンラインでの参加者合わせて約160名の方々にご参加いただきました。
本研修会では、郡山支援学校と平支援学校による実践発表、講師に筑波大学附属桐が丘特別支援学校 前校長 下山 直人 氏をお迎えして、演題「『3つの資質・能力』の育成を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」についての講演会が行われました。
〇実践発表
各校の実践発表では、研修を通してみられた子どもたちの変容や成果と課題について詳しくお話しいただきました。
郡山支援学校「生徒が主体的に伝え合える国語科の授業づくりについて
~卒業後の生活で必要な力を身に付けるために~」
平支援学校 「重複障がい学級における教科書を使用した音楽の授業づくりについて
~『きらきら星変奏曲』を題材にして~」
~参加者からの感想~
・とても分かりやすく、実践してみたいと思うような発表でした。
・実態差が大きい学習グループでも、やり方次第で目標を達成できる授業づくりができると思いました。また、教科書 を再度読み込んで授業に生かそうと思えました。
・国語科の授業実践については、プログラミングなど生徒が学習内容に積極的に取り組もうとするような工夫がされていて大変参考になりました。音楽科の授業実践については、自分自身も選曲に悩むことがあったので教科書を使うことはなるほどと思いました。また、音楽を形づくっている要素について教育課程ごとに扱う項目を変えていて参考になりました。
・ユニークなアイデアに触れて、自分ももっと教材研究をしようと感じました。
〇講演会
下山 直人氏より、「『3つの資質・能力』の育成を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」についてご講演いただきました。
下山氏からは、
Ⅰ 肢体不自由教育の課題
Ⅱこの子どもたちに育てたい力
Ⅲ育成を目指す資質・能力と3つの柱
Ⅳ情報活用能力の育成
Ⅴ肢体不自由児童生徒への情報活用能力の育成
Ⅵ発達の段階に応じた情報活用能力の育成
と、大きく6つの内容に分けて、具体的な事例も交えながら分かりやすくお話しいただきました。
その中で、「情報活用能力を育成するためには、組織的・計画的取組が重要」であること、「情報活用能力の育成は、肢体不自由児童生徒の学習の促進、社会参加の拡大につながる」こと、「これからの社会では、情報機器・ネットワークの活用が不可欠で、発達の段階に応じた情報活用能力の育成」が必要だというお話をいただきました。
~参加者からの感想~
・情報活用能力を育成させるために組織(学校)として取り組まなければならないこと、個人(教師)として取り組まなければならないことについて知ることができました。また、発達段階に応じた取組についても知ることができとても参考になりました。
・内容は多岐にわたるものであったが、本校児童生徒への支援や指導すべき内容など参考となるものが多かったです。特にATとしての活用を進め、生活経験の不足を補うとともに、児童生徒が自らの意思において、主体的な生活を営む力を育むことが重要であると感じました。今後、具体的な指導体制の整備や発展的な活用に関する研究や検証を行い、実践例を積み上げていくべきであると感じました。
・教育現場全体で必要とされる「情報活用能力」と、そこから考える特別支援教育における「情報活用能力」について、整理することができました。
また、研修会全体を通して、「自身の学びの必要性を改めて感じた」や「これからに生かしていきたい」という感想を多くいただきました。
研修会の開催にあたって、御参加・御協力いただきました方々に改めて深く御礼礼申し上げます。
「高い専門性をもつ本校の教職員が講師となり研修を行うことで、教職員一人一人の授業力の向上を図る」ことを目的とし、授業力向上研修講座を開催しました。
今年度は、以下の内容の4講座を開催し、多くの教職員が研修に励みました。
① 「身近な材料を使った制作活動について」
② 「肢体不自由児の体育の授業づくり」
③ 「ICTの授業での活用について」
④ 「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
【研修の様子】
① 「身近な材料を使った制作活動について」
自然物や100円ショップで売っている物等、身近な材料を使い、目の前の子どものニーズに合わせて、一人一人違う教材や玩具を作りました。研修前に、「どのような物が作りたいか」について参加者の要望を聞き、本講座の講師がオリジナルの設計図を描きました。設計図と講師のアドバイスをもとに、参加者全員が作りたかった物を作ることができました。
参加者からは、「色々な素材を集めて、そこから発想を広げて作ることがとても楽しかった。」「他の先生方の作った教材を見て参考になった。」などの感想が聞かれました。
②「肢体不自由児の体育の授業づくり」
学校体育の変遷やこれまでの社会背景に触れながら、現代の「体育」とは『各領域の学習を通してスポーツ文化を教える教科である』と定義を改めて確認し、授業づくりの考え方を教えていただきました。
実技では、実際にネット型の球技を行いました。(1)ネットを挟んで相対し、(2)ボールを開いている場所に返球する、(3)勝敗を競い、勝つために作戦を立てるというネット型球技の特性を実体験を通して学ぶことができました。
受講者からは「スポーツ文化で人生を豊かにするという捉えで体育の指導をしたい。」「子どもたちの適性等に応じて「する・みる・支える・知る」の視点を大切にしていきたい。」などの感想が聞かれました。
③ 「ICTの授業での活用について」
「Canva」というオンラインで使える無料のグラフィックデザインツールの特徴や基本的な使い方や、授業や行事での具体的な利用方法を教えていただきました。演習では、「自己紹介カード」や「暑中見舞い」などの作成を行い、61万点ものテンプレートと1億点の素材から、ドラック&ドロップの簡単操作でデザインを作成しました。
受講者からは、「授業のプリント作成などに取り入れたい。」「子どもたちと一緒にポスターなど作成していきたい。」という感想が聞かれました。
④「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
実際にニュースやオーケストラ、学級での授業の様子の音源を聞いて、「きこえにくさ」を体験したり、日常生活や学校生活で使える手話や指文字について実践したりしました。実践の中で、手話は手の動きだけではなく、表情も大切であることを教えていただきました。
受講者からは、「手話を使う子どもが増えているのでためになった。」「あいさつや曜日、天気など、日常的に使って覚えたいと思った。」という感想が聞かれました。
本校では、教師一人一人の専門性を高め、授業力の向上を図るために、主題研究テーマを設定し教員同士の学び合い をもと授業づくりに取り組んでいます。
今年度の研究主題のテーマは、
「『3つの資質・能力の育成』を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」
のテーマについて令和6年から8年にかけて3か年計画で取り組むことになっています。
「3つの資質・能力」とは、学習指導要領に示されている「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」であり、その学習の基盤となる力が「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」です。
なお、本校では、令和3年度から5年度まで「言語能力の育成」について研究に取り組んでおり、教師がそれぞれの児童生徒にとっての「ことば」について共通認識をもつこと、五感を通して「ことば」を学ぶこと、児童生徒が自分の思いを表現したい場面を設定することが重要だと明らかにされました。
(詳しくは、本校HP研修より「令和5年度研修部主題研究実践報告会・主題研究の成果」をお読みください)
前年度までの研究を生かし、さらに情報活用能力を育むことで、学習の基盤となる3つの資質・能力の育成へとつながると仮定し、今年度の研究主題テーマを設定しました。
研究の概要については以下の通りです。
研究は、準ずる教育課程で3チーム、知的教科代替の教育課程で14チームの合計17チームに分かれて進めています。
研究を進めるにあたって、昨年度教職員に情報活用能力について簡単なアンケートを取ったところ、「情報活用能力ってタブレット端末を使わないとだめ?ICT活用ってこと?」、「障がいが重い児童生徒にとって情報活用ってどういうことだろう?」、「そもそも情報ってなんだろう?」といった意見がありました。
そこで、今年度は「情報活用能力の整理と情報活用能力の観点を取り入れた授業づくり」をサブテーマとして研究に取り組むことにしました。
1学期は、文部科学省や本県県中教育事務所で作成した「情報活用能力の体系表例」をもとに、情報活用能力における児童生徒の実態についてチームごとに共通理解を図るとともに、情報活用能力の観点についても理解を深め合うことを行いました。また、2学期の授業実践に向けて、児童生徒の育みたい情報活用能力を明らかにし、「授業で取り入れたい情報活用能力の観点とは?→そこにはどんな支援、手立てがあるのか?→その支援、手立てを取り入れることでどのような姿を目指せるのか?」といった仮説を立て、話し合いも深めています。
2学期はいよいよ授業実践となります。ここで立てた仮説の検証を通して、児童生徒一人一人が情報社会の中で自分らしく生きるために必要な力の育成を目指し、研究に取り組んでいきます。
「専門の知識をもつ教職員による講話を聴講したり、話し合いを行ったりしながら学び合い、知識を深め、技能を高める」ことを目的とし、校内OJT研修を開催しました。
1学期は以下の3講座を開催し、多くの教職員が研修を行いました。
① 「肢体不自由のある児童・生徒への身体の動かし方、かかわり方の基本」
児童生徒へのかかわり方や身体の弛めについて、話を聞きながら演習を行いました。ペアを組んで体験することにより、支点の位置や伸ばし方、力加減などを学ぶことができました。研修を受けた先生方からは、「身体が緩む感覚を体験することができた。」「毎日の学習に生かしていきたい。」などの声が聞かれました。
②「緊急時の対応について」
本校養護教諭より、発作時の対応の仕方や、ストレッチャーの操作等について話を聞きました。発作時などは、児童
生徒の様子や対応の仕方を時系列に沿って記録しておくことが、今後の対策にもつながることを学びました。事故やけがを未然に防ぎ、児童生徒が安全で楽しい学校生活を送ることができるようにしていきたいと、気持ちを引き締める機会となりました。
③ 「校内にあるAT(アシスティブテクノロジー)機器について」
校内にあるAT機器について話を聞きました。説明を聞いた後に、実物に触れたり操作したりしたことで、授業への生かし方を知ることができました。
令和6年6月21日(金)に、帝京大学教育学部初等教育学科 教授 金森克浩氏を講師として、主題研究全体研修会を行いました。今年度、本校の校内研究のテーマは3つの資質・能力の育成を目指す学習の基盤となる「情報活用能力」の育成となります。
本研修会では、主題研究の推進を図ることを目的として、「特別支援教育におけるICT活用」をテーマに、
1)なぜICTが必要なのか
2)障害の重い子のICT活用
3)知的障害の子どものICT活用
4)準ずる過程でのICT活用
の4つの内容について、動画や資料をもとに分かりやすくご講演いただきました。
その中で、情報活用能力は、「できることを生かす」、「コミュニケーション力を伸ばす」、「自己選択の力をつける」ために必要だというお話をいただきました。
また、知的障害の子どものICT活用や準ずる過程でのICT活用では、参考図書やサイト、デジタル図書及び教科書を利用することも有効であることについての説明もありました。
<参加した職員の感想>
・自立活動主、知的教科代替、準ずる教育課程における児童生徒それぞれの情報活用能力についてのお話が分かりやすかったです。
・肢体不自由の生徒へのICT活用についてヒントを得ることができました。
・今後の授業において、情報をどう利用するのかという視点で実践してみたいです。
今回、学んだことを日々の授業づくりに生かしていきたいと思います。
3か年の研究は、1年次:準ずる教育課程チーム「言語環境を整える」、知的教科代替の教育課程チーム
「『郡山支援学校学びのスタンダード』に基づく系統的で偏りのない学びの実現」、2年次:「言語能力を育むための
授業づくり」、3年次:「言語活動の充実に向けた授業づくり」のテーマをもとに取り組んできました。
今年度は3年目となり、令和6年1月26日に各グループの報告会が行われました。
【報告会の様子】
発表を聞いて「いいね!」と感じたことを記入していきました。
【「いいねメモ」の紹介】
・体験+言語という経験を重ねていくことは言語能力の育成につながると感じた。
・「生活を豊かにすることば」とは、子どもにとって何のための言葉なのか見直していきたい。
・繰り返し、積み重ねの大切さを改めて感じた。
・得意な動きに視点をあてた授業づくりが印象的だった。表出を引き出す環境づくりが工夫されていた。
・子どもたちが話したくなる環境づくりが素晴らしいと思った。
・言葉のイメージを広げる授業を私も実践していきたいと思った。
・言語能力の様々な働きについて構造的に教科の枠を超えて考えられていた。
・動きと言葉がリンクする実践で資質・能力とのかかわりが分かりやすかった。
各グループの取組みから、研究仮説にどれだけ迫ることができたか、分析を行いました。
【準ずる教育課程チームでの取組】
<考察>
・児童同士が学ぶ場を設定することで、相手に伝わるように話したり、相手の話を理解して聞こうとしたりする姿が
増え、ともに成長し合うことができた。
・情報を整理して提示したり、言葉を厳選したりすることで、生徒が見通しをもち、自分なりに表現するように
なった。
・児童生徒の理解力や表現力を育成するためには、実態に応じた情報の量や内容を検討することが必要である。
【知的教科代替の教育課程チームでの取組】
<考察>
・児童同士や生徒同士が学び合う場を設定することで、相手を意識する、相手に具体的に伝える、児童同士や生徒同士
が自分たちで話し合うということができるようになった。
・言葉や(本人が得意な)動作を一致させることで、教師の言葉掛けや働き掛けに対し、反応が早くなってきた。
・同じ活動ややり取りを繰り返すことで、児童生徒が見通しをもち、表現することができるようになった。
・児童生徒が思いを伝える場面を意図的に設定することで、自分から発信することが増えた。
・児童生徒の表出(教師の言葉掛けが分からないのか、答えを考えているのかなど)の読み取りが難しいことがあるの
で、教師が気持ちを代弁するタイミングやその表出の内容について正確に読み取っていくことが必要である。
【3か年の研究のまとめ】
<3か年の研究を通して>
・「ことば」を視覚的に示すことで、児童生徒の聞く力が高まり、理解力も向上した。
・教師側の読み取りと働き掛けで、児童生徒の表出が増えた。
・チームで言葉を増やすために大切にしたいことを確認したことが有効だった。
・「機会の設定」「共通の手掛かり」をもつことで、相手に伝える力が向上した。
・児童生徒の思いを受容し、児童生徒の起こした反応をすぐに言語化することで、言葉と動作のイメージが結び付き
やすかった。
・学習活動ややり取りを継続していくこと。
・児童生徒がもっている力を最大限に発揮できる環境を整えていくこと。
このことから、以下のことが明らかになったと考えられる。
・授業でどんな「ことば」を育てたいのかを明確にし、そのための言語活動や支援方法について教・児童生徒の反応や 思いを受け止め、すぐに言語化して返すことで、言葉と動作が結び付きやすくなること。さらに、こうしたやり取りを繰り返すことで、児童生徒が教師とのやり取りに見通しをもち、自分の思いを伝えようとすることが増えていくことが明らかになった。
・「ことば」は日常生活にあふれているので、普段から教師が意識して言語環境を整え、児童生徒の力を発揮できるようにしておくことが大切である。 また、言語能力の育成については、「ことば」について共通認識をもつこと、五感を通して「ことば」を学ぶこと、児童生徒が自分の思いを表現したい場面を設定することが重要だと考えられる。
【主題研究アンケートまとめ(分析と考察)】
1 今年度の取組を振り返って
・はじめに『「言語能力を育てる授業づくり」のために』のシートをもとに、チームにとっての「ことば」や
「目指す姿」「育てたい言語能力」「取り入れた言語活動」を確認し、共通理解を図りながら研究を進めることが
できたという意見が多かった。
・言語活動という視点から子どもの姿を見ることができ、子どもの変容が捉えやすかったという意見があった。
2 令和3~5年度の取組を振り返って
・「3つの資質・能力の育成」と「言語能力」を関連付けて、子どもの深い学びにつながった。
・自分の意思を表出するためにも言語能力の育成や実態に応じた言語活動は大切だと感じた。
・特別なことをしなくても日常的に教師が意識して言語環境を整えることが大切だと感じたという意見が多かった。
【今後に向けて】
来年度の教育課程重点目標は、「情報活用能力を育成するため、個に応じた指導の充実を図りながら、各教科等の
特質を生かした授業づくりを実践する」となる。これまでの3か年の研究の成果と課題を引き継ぎながら、来年度の
教育課程重点目標の達成に向けて、学校全体として有効な取組となるように、主題研究を企画・推進していく。
「専門の知識をもつ教職員による講話を聴講したり、話し合いを行ったりしながら学び合い、知識を深め、技能を高める」ことを目的とし、校内OJT研修を開催しました。
2学期は以下の講座を開催し、多くの教職員が研修を行いました。
なお、自立活動部が担当した「見え方に困難のある児童生徒の理解と支援」の内容については、昨年10月24日に投稿された記事に載っています。ご覧ください。
① 「緊急時の対応について」
本校養護教諭より、児童生徒のけがや事故の防止のために私たちができることや、ストレッチャーの操作等について話を聞きました。本校は肢体不自由学校であるため、車椅子を使用中のけがや事故も考えられます。そのため、実際に私たちが車椅子を使用し、危険箇所や介助の際にはどれくらいの速さだと安心できるのか等を確認することも行いました。けがや事故の防止には「予測」が大切であることを学び、改めて気持ちを引き締めることができる機会となりました。
② 「特別支援学校のセンター的機能について」
本校特別支援教育コーディネーターより、「特別支援学校のセンター的機能」や「福島県の特別支援教育の現状」、「福島の誰一人取り残さない教育体制整備事業」等について話を聞きました。特別な支援を必要としている子どもが増えている現在、私たちに求められていることについて再確認することができました。また、特別支援学校の専門性を生かして地域を支援することが共生社会の実現につながることも理解することができました。
③ 「就学指導と教育相談、発達検査について」
本校教育支援部長より、文部科学省や福島県特別支援教育センターより出された資料をもとに、講話をしていただきました。「インクルーシブ教育システムの構築」のために必要なことを、多様な学びの場も確認しながら理解することができました。また、障がいのある児童生徒の就学先決定「手続きの流れ」について再確認することもできました。
④ 「障害福祉サービスについて」
本校進路指導部長より、本校の児童生徒が受けることのできる障害福祉サービスについて講話をしていただきました。障害福祉サービスに含まれる訓練等給付と介護給付を利用するまでの流れや、障害支援区分に応じたサービスの内容について知ることができました。また本校卒業生の進路状況を確認し、キャリア形成と自己実現のために、小学部、中学部、高等部段階で必要なキャリア教育について、参加者同士で話し合い、意見を共有することができました。
講師:筑波大学附属桐が丘特別支援学校 前校長 下山直人氏
福島大学 人間発達文化学類 特任教授 柳沼哲氏
福島県教育庁県中教育事務所 指導主事 黒田樹氏
令和5年11月24日(金)上記の先生方を指導助言者としてお招きし、「主題研究授業実践協議会」を行いました。本協議会は、
(1) 提案授業を実施し、取り上げた実践について主題研究各チームで協議・共有することで、授業の改善と主題研究の推進を図る。
(2) 実践協議会への参加を通して、外部講師からの指導助言を主題研究各グループの実践に活かし、授業実践力の向上を図る。
この2点を目的として、小学部・中学部・高等部がそれぞれ提案授業を行いました。午後に提案授業をVTRで視聴し、チームごとに協議を行い、協議内容を共有し、下山氏、柳沼氏、黒田氏からそれぞれ指導助言をいただきました。最後に、下山氏から「言語活動の充実に向けた授業づくり」というテーマで全体講話をいただきました。
下山先生からの助言(全体講話、「小学部:図画工作科」の指導助言より)
〇授業における言語活動の工夫について
準ずる教育課程では、伝えあう機会や多様な表現方法を採用することで、児童生徒が的確事実を捉えることができているか、確認していくと良い。
知的教科代替の教育課程では、体験の質を高め、言葉の精選をすることで、事物と言葉の結びつきを高めることが大切である。
〇図画工作科の授業からの事例:「ぎゅう」の言葉掛けはどこで掛けるかという視点から
児童がどのタイミングで握るかという「事実」を根拠に評価していくことで、発展、修正していくことができる。児童の内面で働く言語は推測するしかできないが、前後の行動等により、根拠をもって推測していくことが大切である。
〇今後も一人一人の学びの過程に目を向け、基盤となる言語活動を大切にした授業づくりをしてほしい。
柳沼先生からの助言(「高等部:体育科」の指導助言より)
〇言語には、コミュニケーション以外にも、思考する、気持ちをコントロールするなどのはたらきがある。特に今回の体育科の授業では、思考して自分の行動を変える姿も重要な言語活動として捉えることが大切である。
〇受容と表出は一体のものである。聞き手がより興味をもって話を聞くことで、伝えたくなる環境をつくることが重要である。
〇体育科の目的と言語活動の充実という手段が逆転しないようにしてほしい。
〇生涯にわたってスポーツを楽しむことができるように、仲間と共に体を動かす楽しさを大切にしながら、言語活動の充実を目指してほしい。
黒田先生からの助言(「中学部:社会科」の指導助言より)
○言語活動の取組において国語科を要として組織的・計画的に取り組んできている成果が表れている。
○社会的事象について関心をもつということは、身近な地域である、児童生徒が通う学校を中心にして学習するところからはじまり、住んでいる地域と他の地域との違いについて関心をもつことと発展し、社会的な見方や考え方につながっていく。
○教材教具の工夫一つで、児童生徒の発見や気付き、追究となる。そして意欲につながる仕掛けとなっていく。
○選択肢の工夫がされ、選択をすることで言語活動が行われていた。さらに、友達同士の関わりがさらに言語活動を活発にする機会となる。
参加者からの感想
・行為のイメージを頭の中に残すことの大切さ、単に「つくる」で終わらない図工ということがとても印象的だった。
・「楽しく印象的な行為を伴う言葉は、言語能力の形成に必要である」との言葉が印象に残った。関わる生徒にもこのように接していきたいと思う。
・講話より、「言葉を体験とともに記憶すること」、「イメージをもって取り組めること」、それが「再現できること」とあり、これらから言葉の獲得を見とれるように授業をつくっていきたいと思った。
・大学での教育者(小、中、高、特別支援)の現状を知ることができた。言語活動を大事にしながら、教科(体育)の目標も大事にし、運動量を確保することも大事だということが分かった。
・社会科とは、誰でも興味・関心がわき、深められる教科であることを再確認した。
<各チームの協議の様子>
<指導助言の様子~下山氏~>
<指導助言の様子~柳沼氏~>
<指導助言の様子~黒田氏~>
今回の協議会を通して、職員同士での学び合いやいただいた指導助言を生かし、より良い授業づくりに努めていきたいと思います。
10月31日(火)に第2回避難訓練がありました。地震を想定とした訓練で、スロープとエレベーターが使えない状況下での避難でした。避難場所は、2階昇降口前にある駐車場で、外へ避難しました。子ども達は、真剣な表情で放送や教師の話をよく聞いて避難することができました。避難経路にある坂や斜面があるところでは、教師同士協力し合いながら安全に通ることができました。
「高い専門性をもつ本校の教職員が講師となり研修を行うことで、教職員一人一人の授業力の向上を図る」ことを目的とし、授業力向上研修講座を開催しました。
今年度は、以下の内容の4講座を開催し、多くの教職員が研修に励みました。
① 「音楽科の授業づくりについて(教材教具の紹介)」
② 「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
③ 「ICTの授業での活用について」
④ 「身近な材料を使った制作活動について」
【研修の様子】
① 「音楽科の授業づくりについて」
前半「筝曲の基本的な演奏について」 後半「星本を中心とした授業づくりについて」
前半は実際に琴を用い、調弦の仕方や演奏方法を体験しました。「六段の調べ」などを、楽譜を見ながら演奏しました。
後半は音楽的な見方・考え方の促し方について、子ども達の学習の段階に応じた教材や教具の提示の仕方や教師の働き掛け方について学びました。たくさんの楽器を紹介してもらい、参加者からは「普段、なかなか演奏できない楽器を演奏できて勉強になった。」、「具体的な曲を取り上げてもらい、参考になった。」、「すぐに実践できそうな内容であった。」などの感想が聞かれました。
② 「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
日常生活や学校生活で使える簡単な手話や指文字について学びました。受講者同士がペアになり、実践することで楽しく学ぶことができました。
参加者からは、「実践的で充実していた。」、「手話と言葉の習得には共通することがたくさんあった。体験、経験を大切にしたい。」などの感想が聞かれました。
③ 「ICTの授業での活用について」
学校生活におけるAT機器やタブレット端末のアプリなどの活用方法について、「どのようなことが知りたいか」のアンケートを元にグループに分かれて研修に取り組みました。
参加者からは、自分が知りたいことを学ぶことができ、「実践を交えての講座で、とても参考になった。」、「Google Earth、フリーボードなどの使い方が特に参考になった。」などの感想が聞かれました。
④「身近な材料を使った制作活動について」
自然物や100円ショップで売っている物等、身近な材料を使い、目の前の子どものニーズに合わせて教材や玩具を作りました。研修前に、「どのような物が作りたいか」について参加者の要望を聞き、本講座の講師がオリジナル設計図を描きました。設計図と講師のアドバイスをもとに、参加者全員が作りたかった物を作ることができました。
参加した教職員からは、「身の周りの物が制作に使えることが分かった。」、「日頃からからこれは教材で使えるかも!?」という感覚をもって生活したい。」などの感想が聞かれました。
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