研修より

2022年8月の記事一覧

令和4年度 授業力向上研修講座

 「高い専門性をもつ本校の教職員が講師となり研修を行うことで、教職員一人一人の授業力の向上を図る」ことを目的とし、7月26日、27日に授業力向上研修講座を開催しました。

今年度は、以下の内容の3講座を開催し、多くの教職員が研修に励みました。

①児童生徒理解:「見え方に困難を抱える児童生徒の理解と支援」

②児童生徒理解:「図工・美術の表現と、その広がり」

③ICT活用:「iPadのアプリケーションの活用方法について」

 

〈研修の様子〉

①   「見え方に困難を抱える児童生徒の理解と支援」                        

 本講座では、視覚障がいに詳しい本校の教員が講師となり、講義と演習を行いました。講義では、「「見ること」の基礎と視覚障がいについて」という内容で、見え方に困難を抱えるとはどういうことか、どのような支援が必要なのか等について、詳細な話を聞きました。演習では、「体験を通して視覚以外のアプローチを考える」という内容で、実際にアイマスクをつけ、見え方に困難を抱えた状態を体験しました。

 参加した教職員からは、「視覚障がいのある児童生徒への教材の提示の方法や教材の工夫について、改めて見直す必要があると感じた。」「見えるということは認識する上でとても大切であることが分かった。また、見えにくさを実際に体験できたことが良い経験になった。」等の感想が聞かれました。

     <講義とアイマスク体験の様子>

 「見え方~」講義

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 

 


 
 

 

 

 

 

 

 

 


  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② 「図工・美術の表現と、その広がり」

 本講座では、「児童生徒の興味・関心や、障がいの程度に応じた美術教育の具体的な実践方法を学ぶ」ことを目的とし、モダンテクニックによる表現方法について学びました。制作体験では、実際に「スパッタリング」「スクラッチ」「フロッタージュ」「デカルコマニー」「コラージュ」の技法を使って、制作に取り組みました。

 参加した教職員からは、「教師が技法を理解することで、児童生徒の表現を引き出すことができると感じた。」「実態に応じたやり方が参考になった。」等の感想が聞かれました。

 

<講義と制作体験(スパッタリング・フロッタージュ)の様子>

 

 
 
 
 
 
 
 

 
 

 
 
 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ 「iPadのアプリケーションの活用方法について」

 本講座では、「授業等、学習場面でのタブレットの活用について理解を深める」ことを目的とし、タブレットの使用方法やアプリケーションの活用について学びました。演習では、3グループ(初級、中級、上級)に分かれ、実際にタブレットを操作しながら、「アプリケーションの内容について」「動画編集について」「classroomの使い方について」を、それぞれに学びました。

 参加者した教職員からは、「授業で効率よく画像や動画を見せられるように活用したい。」「基本的で、すぐに使えそうなアプリを知ることができてよかった。」等の感想が聞かれました。

 

 <講義と演習(アプリケーション・動画編集)の様子>
 
 
 
 
 
 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

令和4年度 主題研究について

 本校では、教師一人一人の専門性を高めるため「みんなで考え、みんなで学び、みんなで動き出す」校内研修に取り組んでいます。その中でも、授業力向上を図るために、テーマを決めて授業づくりに向けた研修を行う、主題研究について紹介します。

昨年度から以下のテーマで主題研究に取り組んでいます。

 

「3つの資質・能力の育成」を目指す学習の基盤となる「言語能力」の育成

 

「3つの資質・能力」とは、学習指導要領に示されている「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」です。その学習の基盤となる力の1つが「言語能力」です。


学習指導要領解説には、「言語能力」について以下のように記載されています。

   言葉は、児童生徒の学習活動を支える重要な役割を果たすものであり、全ての教科等における資質・能力の

   育成や学習の基盤となるものである。 


さらに、

   言語能力の向上は、児童生徒の学びの質の向上や資質・能力の育成の在り方に関わる重要な課題として

   受け止め、重視していくことが求められる。

 

との記載もあります。

「言語能力」は、情報を取り出したり、考えをまとめたり、思いを伝えたりするときに、大きな役割を果たしており、すべての児童生徒にとって、学習を積み重ねるために大切なものです。

 

主題研究を支えるそれぞれの用語と関係性

 

 学習指導要領解説には、「肢体不自由のある児童生徒は、身体の動きに困難があることから、様々なことを体験する機会が不足したまま、言葉や知識を習得していることが少なくない。そのため、言葉を知っていても意味の理解が不十分であったり、概念が不確かなまま用語や数字を使ったりすることがある。」とあります。本校の児童生徒を見ても、言葉を知っていても適切な使い方がわからない場合があります。また、常に支援を必要とすることから、受け身の姿勢になってしまい、自分から発信する力が弱い姿も見られます。そのため、言葉の意味を知って、それを使って考え、表現し、伝える力は、本校の児童生徒にとってとても大切な力だと考えます。「言語能力」つまり児童生徒の「ことばの力」を伸ばしていくことが、児童生徒の学びを深めていくために大切であり、私たちはそのための授業力を向上させていくことが必要だと考え、「言語能力」に焦点を当て、研究を進めていくこととしました。なお、本校の児童生徒にとっての「ことば」は、自分の思いを表現したり、コミュニケーションをとったりする全ての手段、つまり、話し言葉や文字だけでなく、声、表情、身振り、視線、身体の動き、絵、写真など、全ての表出を「ことば」と捉えています。

 

 昨年度の研究では、通常の教育課程のチームからは、「言語活動を意識した授業づくりを行うことができた」といった成果があがった半面、「思考意欲、伝える力をどう育てるか」「考える必要性のある学習活動をどう設定するか」といった課題があがりました。重複障がいの教育課程のチームからは、「学ぶべき内容を明確にして授業づくりをすることができた」といった成果があがった半面、「本校児童生徒の実態を踏まえた言語能力をどのように考え、育成するか」といった課題があがりました。これらの成果と課題を踏まえ、今年度は「言語能力を育む授業づくり」をテーマに、主題研究を進めることとしました。

研究の概要については以下のとおりです。

令和4年度 主題研究概要-2年次ー

 

  研究の進め方としては、通常の教育課程で3チーム、重複障がいの教育課程で15チームの合計18チームに分かれて進めています。

 1学期は、研究のキーワードである「言語能力」について全教員で確認した後、「言語能力」を育成するために、授業にどのような「言語活動」を取り入れていったらよいかをチームごとに考えました。2学期には、具体的な授業づくりをとおして、「言語能力を育む授業づくり」について考えていきます。

 児童生徒が様々な表現方法での「ことばの力」を伸ばし、豊かな生活を送れるようになることを目指し、研究に取り組んでいきます。