研修より

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令和5年度 研修部 主題研修実践報告会・主題研究の成果

 3か年の研究は、1年次:準ずる教育課程チーム「言語環境を整える」、知的教科代替の教育課程チーム

「『郡山支援学校学びのスタンダード』に基づく系統的で偏りのない学びの実現」、2年次:「言語能力を育むための

授業づくり」、3年次:「言語活動の充実に向けた授業づくり」のテーマをもとに取り組んできました。

今年度は3年目となり、令和6年1月26日に各グループの報告会が行われました。

 

【報告会の様子】

  

 

 発表を聞いて「いいね!」と感じたことを記入していきました。

【「いいねメモ」の紹介】

 

・体験+言語という経験を重ねていくことは言語能力の育成につながると感じた。

・「生活を豊かにすることば」とは、子どもにとって何のための言葉なのか見直していきたい。

・繰り返し、積み重ねの大切さを改めて感じた。

・得意な動きに視点をあてた授業づくりが印象的だった。表出を引き出す環境づくりが工夫されていた。

・子どもたちが話したくなる環境づくりが素晴らしいと思った。

・言葉のイメージを広げる授業を私も実践していきたいと思った。

・言語能力の様々な働きについて構造的に教科の枠を超えて考えられていた。

・動きと言葉がリンクする実践で資質・能力とのかかわりが分かりやすかった。

 

 各グループの取組みから、研究仮説にどれだけ迫ることができたか、分析を行いました。

【準ずる教育課程チームでの取組】

<考察>

・児童同士が学ぶ場を設定することで、相手に伝わるように話したり、相手の話を理解して聞こうとしたりする姿が

 増え、ともに成長し合うことができた。

・情報を整理して提示したり、言葉を厳選したりすることで、生徒が見通しをもち、自分なりに表現するように

 なった。

・児童生徒の理解力や表現力を育成するためには、実態に応じた情報の量や内容を検討することが必要である。

 

 

【知的教科代替の教育課程チームでの取組】

<考察>

・児童同士や生徒同士が学び合う場を設定することで、相手を意識する、相手に具体的に伝える、児童同士や生徒同士

 が自分たちで話し合うということができるようになった。

・言葉や(本人が得意な)動作を一致させることで、教師の言葉掛けや働き掛けに対し、反応が早くなってきた。

・同じ活動ややり取りを繰り返すことで、児童生徒が見通しをもち、表現することができるようになった。

・児童生徒が思いを伝える場面を意図的に設定することで、自分から発信することが増えた。

・児童生徒の表出(教師の言葉掛けが分からないのか、答えを考えているのかなど)の読み取りが難しいことがあるの  

 で、教師が気持ちを代弁するタイミングやその表出の内容について正確に読み取っていくことが必要である。

 

【3か年の研究のまとめ】

<3か年の研究を通して>

・「ことば」を視覚的に示すことで、児童生徒の聞く力が高まり、理解力も向上した。

・教師側の読み取りと働き掛けで、児童生徒の表出が増えた。

・チームで言葉を増やすために大切にしたいことを確認したことが有効だった。

・「機会の設定」「共通の手掛かり」をもつことで、相手に伝える力が向上した。

・児童生徒の思いを受容し、児童生徒の起こした反応をすぐに言語化することで、言葉と動作のイメージが結び付き

 やすかった。

・学習活動ややり取りを継続していくこと。

・児童生徒がもっている力を最大限に発揮できる環境を整えていくこと。

 

 このことから、以下のことが明らかになったと考えられる。

・授業でどんな「ことば」を育てたいのかを明確にし、そのための言語活動や支援方法について教・児童生徒の反応や 思いを受け止め、すぐに言語化して返すことで、言葉と動作が結び付きやすくなること。さらに、こうしたやり取りを繰り返すことで、児童生徒が教師とのやり取りに見通しをもち、自分の思いを伝えようとすることが増えていくことが明らかになった。

・「ことば」は日常生活にあふれているので、普段から教師が意識して言語環境を整え、児童生徒の力を発揮できるようにしておくことが大切である。 また、言語能力の育成については、「ことば」について共通認識をもつこと、五感を通して「ことば」を学ぶこと、児童生徒が自分の思いを表現したい場面を設定することが重要だと考えられる。

 

【主題研究アンケートまとめ(分析と考察)】

1 今年度の取組を振り返って

・はじめに『「言語能力を育てる授業づくり」のために』のシートをもとに、チームにとっての「ことば」や

 「目指す姿」「育てたい言語能力」「取り入れた言語活動」を確認し、共通理解を図りながら研究を進めることが

 できたという意見が多かった。

・言語活動という視点から子どもの姿を見ることができ、子どもの変容が捉えやすかったという意見があった。

 

2 令和3~5年度の取組を振り返って

・「3つの資質・能力の育成」と「言語能力」を関連付けて、子どもの深い学びにつながった。

・自分の意思を表出するためにも言語能力の育成や実態に応じた言語活動は大切だと感じた。

・特別なことをしなくても日常的に教師が意識して言語環境を整えることが大切だと感じたという意見が多かった。

 

【今後に向けて】

 来年度の教育課程重点目標は、「情報活用能力を育成するため、個に応じた指導の充実を図りながら、各教科等の

特質を生かした授業づくりを実践する」となる。これまでの3か年の研究の成果と課題を引き継ぎながら、来年度の

教育課程重点目標の達成に向けて、学校全体として有効な取組となるように、主題研究を企画・推進していく。