令和6年8月1日(木)に本校にて「令和6年度 福島県特別支援教育研究会 肢体不自由教育専門部研修会」が行われました。当日は本校教職員の他、他校からの来校者、オンラインでの参加者合わせて約160名の方々にご参加いただきました。
本研修会では、郡山支援学校と平支援学校による実践発表、講師に筑波大学附属桐が丘特別支援学校 前校長 下山 直人 氏をお迎えして、演題「『3つの資質・能力』の育成を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」についての講演会が行われました。
〇実践発表
各校の実践発表では、研修を通してみられた子どもたちの変容や成果と課題について詳しくお話しいただきました。
郡山支援学校「生徒が主体的に伝え合える国語科の授業づくりについて
~卒業後の生活で必要な力を身に付けるために~」
平支援学校 「重複障がい学級における教科書を使用した音楽の授業づくりについて
~『きらきら星変奏曲』を題材にして~」
~参加者からの感想~
・とても分かりやすく、実践してみたいと思うような発表でした。
・実態差が大きい学習グループでも、やり方次第で目標を達成できる授業づくりができると思いました。また、教科書 を再度読み込んで授業に生かそうと思えました。
・国語科の授業実践については、プログラミングなど生徒が学習内容に積極的に取り組もうとするような工夫がされていて大変参考になりました。音楽科の授業実践については、自分自身も選曲に悩むことがあったので教科書を使うことはなるほどと思いました。また、音楽を形づくっている要素について教育課程ごとに扱う項目を変えていて参考になりました。
・ユニークなアイデアに触れて、自分ももっと教材研究をしようと感じました。
〇講演会
下山 直人氏より、「『3つの資質・能力』の育成を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」についてご講演いただきました。
下山氏からは、
Ⅰ 肢体不自由教育の課題
Ⅱこの子どもたちに育てたい力
Ⅲ育成を目指す資質・能力と3つの柱
Ⅳ情報活用能力の育成
Ⅴ肢体不自由児童生徒への情報活用能力の育成
Ⅵ発達の段階に応じた情報活用能力の育成
と、大きく6つの内容に分けて、具体的な事例も交えながら分かりやすくお話しいただきました。
その中で、「情報活用能力を育成するためには、組織的・計画的取組が重要」であること、「情報活用能力の育成は、肢体不自由児童生徒の学習の促進、社会参加の拡大につながる」こと、「これからの社会では、情報機器・ネットワークの活用が不可欠で、発達の段階に応じた情報活用能力の育成」が必要だというお話をいただきました。
~参加者からの感想~
・情報活用能力を育成させるために組織(学校)として取り組まなければならないこと、個人(教師)として取り組まなければならないことについて知ることができました。また、発達段階に応じた取組についても知ることができとても参考になりました。
・内容は多岐にわたるものであったが、本校児童生徒への支援や指導すべき内容など参考となるものが多かったです。特にATとしての活用を進め、生活経験の不足を補うとともに、児童生徒が自らの意思において、主体的な生活を営む力を育むことが重要であると感じました。今後、具体的な指導体制の整備や発展的な活用に関する研究や検証を行い、実践例を積み上げていくべきであると感じました。
・教育現場全体で必要とされる「情報活用能力」と、そこから考える特別支援教育における「情報活用能力」について、整理することができました。
また、研修会全体を通して、「自身の学びの必要性を改めて感じた」や「これからに生かしていきたい」という感想を多くいただきました。
研修会の開催にあたって、御参加・御協力いただきました方々に改めて深く御礼礼申し上げます。
「高い専門性をもつ本校の教職員が講師となり研修を行うことで、教職員一人一人の授業力の向上を図る」ことを目的とし、授業力向上研修講座を開催しました。
今年度は、以下の内容の4講座を開催し、多くの教職員が研修に励みました。
① 「身近な材料を使った制作活動について」
② 「肢体不自由児の体育の授業づくり」
③ 「ICTの授業での活用について」
④ 「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
【研修の様子】
① 「身近な材料を使った制作活動について」
自然物や100円ショップで売っている物等、身近な材料を使い、目の前の子どものニーズに合わせて、一人一人違う教材や玩具を作りました。研修前に、「どのような物が作りたいか」について参加者の要望を聞き、本講座の講師がオリジナルの設計図を描きました。設計図と講師のアドバイスをもとに、参加者全員が作りたかった物を作ることができました。
参加者からは、「色々な素材を集めて、そこから発想を広げて作ることがとても楽しかった。」「他の先生方の作った教材を見て参考になった。」などの感想が聞かれました。
②「肢体不自由児の体育の授業づくり」
学校体育の変遷やこれまでの社会背景に触れながら、現代の「体育」とは『各領域の学習を通してスポーツ文化を教える教科である』と定義を改めて確認し、授業づくりの考え方を教えていただきました。
実技では、実際にネット型の球技を行いました。(1)ネットを挟んで相対し、(2)ボールを開いている場所に返球する、(3)勝敗を競い、勝つために作戦を立てるというネット型球技の特性を実体験を通して学ぶことができました。
受講者からは「スポーツ文化で人生を豊かにするという捉えで体育の指導をしたい。」「子どもたちの適性等に応じて「する・みる・支える・知る」の視点を大切にしていきたい。」などの感想が聞かれました。
③ 「ICTの授業での活用について」
「Canva」というオンラインで使える無料のグラフィックデザインツールの特徴や基本的な使い方や、授業や行事での具体的な利用方法を教えていただきました。演習では、「自己紹介カード」や「暑中見舞い」などの作成を行い、61万点ものテンプレートと1億点の素材から、ドラック&ドロップの簡単操作でデザインを作成しました。
受講者からは、「授業のプリント作成などに取り入れたい。」「子どもたちと一緒にポスターなど作成していきたい。」という感想が聞かれました。
④「手話や指文字を使った児童生徒とのコミュニケーションについて」
実際にニュースやオーケストラ、学級での授業の様子の音源を聞いて、「きこえにくさ」を体験したり、日常生活や学校生活で使える手話や指文字について実践したりしました。実践の中で、手話は手の動きだけではなく、表情も大切であることを教えていただきました。
受講者からは、「手話を使う子どもが増えているのでためになった。」「あいさつや曜日、天気など、日常的に使って覚えたいと思った。」という感想が聞かれました。
本校では、教師一人一人の専門性を高め、授業力の向上を図るために、主題研究テーマを設定し教員同士の学び合い をもと授業づくりに取り組んでいます。
今年度の研究主題のテーマは、
「『3つの資質・能力の育成』を目指す学習の基盤となる『情報活用能力』の育成」
のテーマについて令和6年から8年にかけて3か年計画で取り組むことになっています。
「3つの資質・能力」とは、学習指導要領に示されている「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」であり、その学習の基盤となる力が「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」です。
なお、本校では、令和3年度から5年度まで「言語能力の育成」について研究に取り組んでおり、教師がそれぞれの児童生徒にとっての「ことば」について共通認識をもつこと、五感を通して「ことば」を学ぶこと、児童生徒が自分の思いを表現したい場面を設定することが重要だと明らかにされました。
(詳しくは、本校HP研修より「令和5年度研修部主題研究実践報告会・主題研究の成果」をお読みください)
前年度までの研究を生かし、さらに情報活用能力を育むことで、学習の基盤となる3つの資質・能力の育成へとつながると仮定し、今年度の研究主題テーマを設定しました。
研究の概要については以下の通りです。
研究は、準ずる教育課程で3チーム、知的教科代替の教育課程で14チームの合計17チームに分かれて進めています。
研究を進めるにあたって、昨年度教職員に情報活用能力について簡単なアンケートを取ったところ、「情報活用能力ってタブレット端末を使わないとだめ?ICT活用ってこと?」、「障がいが重い児童生徒にとって情報活用ってどういうことだろう?」、「そもそも情報ってなんだろう?」といった意見がありました。
そこで、今年度は「情報活用能力の整理と情報活用能力の観点を取り入れた授業づくり」をサブテーマとして研究に取り組むことにしました。
1学期は、文部科学省や本県県中教育事務所で作成した「情報活用能力の体系表例」をもとに、情報活用能力における児童生徒の実態についてチームごとに共通理解を図るとともに、情報活用能力の観点についても理解を深め合うことを行いました。また、2学期の授業実践に向けて、児童生徒の育みたい情報活用能力を明らかにし、「授業で取り入れたい情報活用能力の観点とは?→そこにはどんな支援、手立てがあるのか?→その支援、手立てを取り入れることでどのような姿を目指せるのか?」といった仮説を立て、話し合いも深めています。
2学期はいよいよ授業実践となります。ここで立てた仮説の検証を通して、児童生徒一人一人が情報社会の中で自分らしく生きるために必要な力の育成を目指し、研究に取り組んでいきます。
給食だより ~健康教育部 給食係~
〒963-8041
福島県郡山市富田町字上ノ台1番地
TEL 024-951-0247
FAX 024-961-5784
E-mail
koriyama-sh@fcs.ed.jp
QRコード