本校では、教師一人一人の専門性を高めるために「みんなで考え、みんなで学び、みんなで動き出す」校内研修に取り組んでいます。その中でも、授業力の向上を図るために、テーマを決めて授業づくりに向けた研修を行う、主題研究について紹介します。
一昨年度から、以下のテーマで主題研究に取り組んでいます。
「3つの資質・能力の育成」を目指す学習の基盤となる「言語能力」の育成
「3つの資質・能力」とは、学習指導要領に示されている「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」です。その学習の基盤となる力の1つが「言語能力」です。
学習指導要領解説には、「言語能力」について以下のように示されています。
言葉は、児童生徒の学習活動を支える重要な役割を果たすものであり、全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となるものである。
さらに
言語能力の向上は、児童生徒の学びの質の向上や資質・能力の育成の在り方に関わる重要な課題として受け止め、重視していくことが求められる。
との記載もあります。
「言語能力」は、情報を取り出したり、考えをまとめたり、思いを伝えたりするときに、大きな役割を果たしており、全ての児童生徒にとって、学習を積み重ねるために大切なものです。
図[主題研究を支えるそれぞれの用語と関係性]
学習指導要領解説には、「肢体不自由のある児童生徒は、身体の動きに困難があることから、様々なことを体験する機会が不足したまま、言葉や知識を習得していることが少ない。そのため、言葉を知っていても意味の理解が不十分であったり、概念が不確かなまま用語や数字を使ったりすることがある。」とあります。本校の児童生徒を見ても、言葉を知っていても適切な使い方がわからない場合があります。また、常に支援を必要とすることから、受け身の姿勢になってしまい、自分から発信する力が弱い姿も見られます。そのため、言葉の意味を知り、それを使って考え、表現し、伝える力は、本校の児童生徒にとってもとても大切な力だと考えます。「言語能力」つまり児童生徒の「ことばの力」を伸ばしていくことが、児童生徒の学びを深めていくために大切であり、私たちはそのための授業力を向上させていくことが必要だと考え、「言語能力」に焦点を当て、研究を進めていくことにしました。なお、本校の児童生徒にとっての「ことば」は、自分の思いを表現したり、コミュニケーションをとったりする全ての手段、つまり、話し言葉や文字だけではなく、声、表情、身振り、視線、身体の動き、絵、写真など、全ての表出を「ことば」と捉えています。
昨年度の研究では、準ずる教育課程チームからは、「『目指す姿』『育てたい言語能力』『取り入れたい言語活動』を明確にして授業づくりを行ったことで、理解力や表現力の向上が見られた」といった成果があがった一方、「児童生徒同士の協働的な学び合いの場をどのように設定するか、どのような支援が必要か」といった課題があがりました。知的教科代替の教育課程チームからは、「児童生徒にとっての『ことば』とは何かを考え、『ことば』について整理し、共通理解を図ることができた」「言語環境、言語活動をより意識して授業づくりを行うことができた」といった成果が上がった一方、「言語活動の充実に向け、児童生徒が伝える(表出する)だけではなく、児童生徒同士や児童生徒と教師が伝え合うことができるような学習活動をどのように設定するか、どのような支援や手立てが有効か」といった課題があがりました。これらの成果と課題を踏まえ、今年度は「言語活動の充実に向けた授業づくり」をテーマに課題研究を進めることにしました。
研究の概要については以下の通りです。
図[主題研究推進計画]
研究の進め方としては、準ずる教育課程で3チーム、知的教科代替の教育課程で15チームの合計18チームに分かれて進めています。
1学期は、チームごとに研究教科を決め、「ことば」について共通理解を図りました。そこから、「目指す姿」「育てたい言語能力」「取り入れたい言語活動」を明確化し、有効な支援や手立てについて話し合いました。2学期は、具体的な授業づくりや実践を通して、有効と思われる支援や手立てを検証し、「言語活動の充実に向けた授業づくり」について考えていきたいと思います。
児童生徒一人一人が「ことば」の力を伸ばし、様々な表現方法で周囲とコミュニケーションを取りながら豊かな生活を送れるようになることを目指し、研究に取り組んでいきます。
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